2022/10/17

ファイアーエムブレム縛りプレイ大全 ~もっとFEを「てごわく」するために~

この記事では、『ファイアーエムブレム』(FE)シリーズの縛りプレイ(制限プレイ)のバリエーションを紹介する。

縛りプレイとは、なんらかの制限をかけながらゲームをプレイすること。
FEは元から制限が多いゲームであるが、一方で自由度も高く、縛りプレイに向いたシリーズである。この記事が縛りプレイでFEをより深く楽しむ参考になれば幸いだ。

全員生存

まずは最も基本的な縛りとも言える「全員生存」から。

FEでは、基本的に撃破されたユニットは「死亡」扱いとなり、以後一切使用できないというロスト制が採用されている(カジュアルモードを除く)。

これはシリーズの代名詞とも言える特徴的なシステムだが、このロストを避け、仲間を全員生存させた状態でマップをクリア・エンディングを目指すのが全員生存プレイである。

単純に味方がやられると戦力ダウンになるし、なにより自分のプレイでキャラクターを殺してしまうのは忍びない。普通にプレイしていると、攻略面からも心理面からも自然に全員生存にこだわりたくなるのがFEの巧みなところだろう。

全員生存を目指す場合、当然ながらロスト前提の特攻プレイはできない。敵を撃破するだけでなく、返しのターンでしっかり生存できるよう、位置取りやダメージ計算は慎重に行う必要がある。
不意のケアレスミスや増援で、打たれ弱いユニットがやられてしまうパターンにも注意したい。

基本通りの丁寧なプレイが要求されるが、逆に言えばどのシリーズも全員生存を前提としたバランスに調整されているので、他の縛りと比べて「詰み(どうやってもクリアできない)」状態に陥りにくいのがメリットといえる。最もオーソドックスな縛りプレイの一つであり、縛りプレイ初心者はまずここからチャレンジしてみるのも良いだろう。


ノーリセット

「全員生存」と同じぐらい代表的なFEの縛りプレイが「ノーリセット」だ。

名前の通りリセットを禁止にするプレイで、例えばユニットがやられて死亡してしまっても――たとえそれが手塩にかけて育てた一番お気に入りのキャラだったとしても――リセットしてやり直すことは許されない

一手の判断が取り返しのつかないミスに繋がる可能性がある、とてもシビアな縛りである。ユニットロストというFEの醍醐味(?)を最も深く味わうことができる縛りプレイと言えるだろう。

緊張感を高められるという点では、ノーリセットの右に出る縛りプレイは無いだろう。
命中90%の攻撃が外れたり、1%の必殺が発動するかもしれない。順調に見えても突然の増援で一気に苦境に陥るかもしれない。簡単なマップでも、ノーリセットで挑むだけで難易度は大きく上がり、緊張感を持ってプレイを楽しむことができるのだ。

リスクを避け慎重に進むのがノーリセットの鉄則だが、慎重になりすぎても敵を減らせずジリ貧に陥る可能性がある。どこまリスクを許容して踏み込むか。その判断が重要となる。

同じマップを何度も繰り返しながら最適解を探す全員生存縛りに対し、判断力やアドリブ性が問われるノーリセットは様々な点で対称的だ。どちらも基本的な縛りでありながら、方向性は真逆なのが面白い。

注意点は、プレイによっては戦力的にクリア不可能な「詰み」に陥る可能性があること。

元々FEは(シリーズにもよるが)経験値や資金を自由に稼げないため、「詰む」可能性が少なからずある作品なのだが、特にノーリセットでは「使用可能なユニットが減る→戦力が減って戦いが苦しくなる→さらに味方がやられる」……という負のスパイラルに陥りやすい。あらかじめセーブデータを分けておくなど、「詰み対策」も意識しておきたい。


仲間全員加入/全村訪問/全盗賊撃破

何かを禁止するのではなく、特定の条件の達成を目指す形の縛りプレイも存在する。

例えば仲間の加入。自動で加入するキャラもいれば、マップ上で会話するなど条件を満たす必要がある場合もある。仲間を全員集めるというだけでも立派な縛りプレイの一つだ。

他に代表的なのは、盗賊の撃破。マップによっては宝箱や村を狙う盗賊が出現するので、その撃破を狙う。
盗賊を倒すには、進軍を急いだり移動力の高いユニットを単騎で動かす必要があるため、普通に戦うよりも難易度が上がる。

一方で撃破に成功すればアイテムや資金を入手できるので、特に縛りプレイを意識しなくても自然と撃破を狙いたくなるように作られている。
安全に進みたいなら盗賊は無視してもいいし、より歯ごたえが欲しいなら撃破を狙えば良い。難易度調節をプレイヤーに委ねた「公式縛りプレイ」の一つと言えるだろう。


ユニットを縛る

ここからは、使用するユニットを制限するタイプの縛りプレイについて紹介する。

FE(SRPG)の大きな魅力は、プレイアブルユニットが多いことだろう。使えるユニットが多い分編成の自由度も高く、ユニット関連の縛りプレイも幅が広いが、ここではいくつかのパターンに分けて考える。


特定のユニットを使用禁止

主に、バランスブレイカーとなりうる強いユニットを禁止にするレギュレーション。縛りプレイとしては基本的と言えるだろう。

具体的には、『封印の剣』ハードモードのルトガー、『暁の女神』のラグズ王族、『if』のリョウマ(雷神刀)などが代表例。もちろん、禁止リストは独断と偏見で決めて良い。縛りプレイは自由なのだ。

普通にプレイするとどうしても頼ってしまう強ユニットを禁止にすることで、通常とはまったく異なる戦略を考える必要が生まれたり、普通のプレイでは使わないようなユニットやアイテムの思わぬ活かし方が見つかったりする。シンプルながら縛りプレイの醍醐味が得られる制限と言えるだろう。

主人公を禁止にするのも良い。
主人公は基本的に強制出撃なので、何周もやっているとプレイのマンネリ化につながってしまう。主人公を使わないだけでかなり新鮮な感覚になるので、周回プレイ時はオススメだ。

ただし作品によっては主人公でないとラスボスを倒せなかったりするので、そのあたりのルール(最低限のレベル上げは可とするなど)は考えておきたい。


特定のユニットのみ使用可

もう少し縛りを強くして、少数のユニットのみ使用可能にする方法もある。

どのユニットを使用可にするかはそれこそ無数のバリエーションがあるが、例えば代表的なものだと「男性のみ/女性のみ使用可」という性別縛り。

使用可能キャラがおおよそ半分になるものの、終章の出撃枠を埋めるぐらいの頭数は揃うため、縛りプレイとしては適度な難易度になりやすく、人気が高いルールだ。

単純に、「好きなキャラ+その関係者のみ」でプレイするのも良いだろう。好きなキャラを活躍させたいが、単騎プレイは難しすぎる/味気ない……という場合にオススメだ。

他にも「髪が○色のユニットのみ」「名前が○文字のユニットのみ」「1章から使える初期メンバーのみ」など、様々なルールが考えられる。自分が使いたいユニットや難易度のバランスなどを考えてチョイスしたい。


1人のみ使用可

いわゆる単騎プレイ。単純に好きなユニットをたくさん戦闘させたいなら、これ以上の縛りは無いだろう。

FEは大勢のユニットを使って戦うゲームなので、単騎プレイは難易度が大きく上がる……ように思えるが、一方で経験値が1人のユニットに集中するため成長も早く、上手く育てば敵を反撃で片っ端から薙ぎ倒していく「無双」状態になることも多い、という相反する性質を併せ持つ。良くも悪くも極端な難易度になりやすいルールだ。

単騎プレイはさらに2つに分類できる。まずは「主人公単騎」を目指す場合。

主人公は基本的に強制出撃なので単騎プレイに向いているが、難易度は作品によって大きく異なる。持てる武器が限られていたり、クラスチェンジのタイミングが遅い作品だと苦労するが、逆に強い主人公であれば楽。

一方、主人公以外で単騎プレイをする場合は、主人公をどう守るかを考える必要もある。

主人公は強制出撃かつ撃破されるとゲームオーバーなので、強いユニットで敵を倒すことはできても、弱い主人公が狙われて負けてしまう、というパターンがありうる。安全地帯に逃したり、「救出」などで隠したり、といった工夫が必要だ。


大勢を使う

ここまでは使うユニットを減らすタイプの縛りを紹介してきたが、逆にできるだけ多くのユニットを使わないといけないようにする、という発想の縛りプレイも存在する。

前述のように、FEは特定のキャラに経験値を集中させて「エース」を作るのが有効な攻略法である。強いユニットを敵陣に突っ込ませて、反撃で敵を一気に減らしてもらうのが効率的なのだ。

ゆえに、そういった「無双プレイ」を規制しようとする生粋の縛りプレイヤーも存在する。よりマニアックというか、渋い目的の制限のかけ方である。

例えば「レベルの一番高いユニットは使用禁止」といった縛りを設ければ、前述のような無双戦術を制限できる。似たものでは「レベルの低い順に出撃させる」のも良いだろう。

『トラキア776』の疲労システムのように「同じユニットは2回連続で出撃できない」としたり、「出撃するユニットをランダムで選ぶ」といった運の要素を組み込むのもいい。

どんな縛りであれ、経験値を一人に集中させるリスクがあれば、多くのユニットをまんべんなく育てるインセンティブが生まれる。どうしても毎回無双プレイになってしまう……とお悩みのマニアックなあなたにオススメだ。


兵種を縛る

ユニットではなく、兵種(クラス)に着目した縛り方もできる。


特定の兵種のみ使用可

「特定の(強い)兵種は使用禁止」にしたり、逆に「特定の兵種のみ使用可能」といった縛りが考えられる。

ペガサスナイトのみで戦う場合は弓が鬼門となり、アーマーナイトばかりだと機動力が低く盗賊の撃破が一苦労となるなど、普通プレイとはまた違った感覚でプレイできるだろう。
杖が使えない(回復手段が限定される)のがネックになることが多いので、ケアする方法(傷薬を買い込む、シスターのみ使用可能とするなど)があるといい。


マスタープルフ禁止/初期上級職のみ使用可

序盤は普通プレイだが、終盤になるにつれてステータスが厳しくなる。初期上級職が頼もしい存在になるだろう。

逆に初期上級職のみ使用可にしてもいい。普通のプレイだと育てないことが多いので新鮮に感じるだろう。


兵種変更禁止/強制兵種変更

使用キャラには制限をかけず、あくまで兵種にこだわるという縛り方もある。

『新・暗黒竜と光の剣』以降の作品では、ユニットの兵種をある程度自由に変更することができる。
この兵種変更を禁止にするのも一つの方法だし、逆に必ず兵種変更しなければならないという縛りも面白い。

兵種はFEにおいてキャラの性能や個性を決める重要な要素であり、他の縛りと組み合わせて考えてみると良いだろう。


武器・スキルを縛る

戦いには欠かせない武器やスキルも縛りの対象になる。


特定の武器・アイテム・スキルの禁止

強力な専用武器や特効武器、ワープやレスキューなどの特殊な杖あたりが禁止候補。

アイテムでは「力のしずく」などの、いわゆるドーピングアイテムを禁止にすることで、前述の「突出したエース」が作りづらくなる。

スキルでは、『聖戦』の「追撃」や『覚醒』の「疾風迅雷」あたりが制限の筆頭候補か。


特定の武器のみ使用可

例えば「剣のみ使用可能」にすると、槍に弱くなり2射程攻撃もできなくなる。また使える兵種も自然と限られるなど、多方面に影響を及ぼす。

他には「威力の低い「鉄の○○」しか使わない」といった制限もあり。


買い物禁止

FEでは(作品にもよるが)武器に耐久値があり、戦闘を重ねると武器が壊れてしまうというシステムがある。
ゆえに常に新しい武器を購入しながら進むのが基本なのだが、これを禁止とし、敵のドロップや宝箱のみでアイテムをまかなうという縛りである。

単純に強い武器を用意しづらくなるだけでなく、武器の耐久値に限りが生まれるので、無駄な戦闘(ボスチクなど)にリスクが生まれる。武器の耐久システムを深く味わいたい人にオススメだ。

ただし作品や難易度にもよるが、武器がすべて壊れて戦えなくなる(詰む)可能性も十分にあるので注意したい。


システムを縛る

その他、様々なシステム面も縛りの対象となる。
以下に代表的な例を挙げる。


かつぐ/救出/ダブル/防陣禁止

FEには、1マスに2体のユニットを重ねて配置することができるシステム(『トラキア776』では「かつぐ」、『封印の剣』~『暁の女神』では「救出」、『覚醒』では「ダブル」、『if』では「防陣」)が存在するが、これを禁止にする縛り。

いずれも便利な機能であり、高難易度ではこれをフル活用するのが前提となっているため、見た目以上に難易度は上がる。

同様に騎馬・飛行ユニットの再移動も強力なため、禁止にすることで違った戦略を求められるようになるだろう。


闘技場/遭遇戦/ボスチク禁止

経験値稼ぎを制限する方法。

基本的にFEは、こうした経験値稼ぎをしなくてもクリアできるバランスになっている(一部の超高難易度はこの限りではないかもしれないが…)ので、他のルールとも併用しやすい縛りだろう。


DLC・通信禁止

『覚醒』以降にはDLC(ダウンロードコンテンツ)が存在し、『if』では他のプレイヤーとの通信要素もある。こうした追加要素をどこまで許すかもプレイヤーの判断に委ねられている。


ミラの歯車・天刻の拍動禁止

『Echoes』『風花雪月』に存在するターン巻き戻しシステム。
ノーリセットでプレイする場合は当然禁止にするべきだが、そうでない場合はやり直しのリスクをどれぐらい保ちたいかで使用の可否が決まるだろう。


おわりに

以上が代表的な縛りプレイの一覧だが、他にも様々な縛りプレイが存在する。

上記に無い中で例えばポピュラーなのはRTA(リアルタイムアタック)だろう。
普通のプレイでは要求されないリアルタイムでの操作スピードや素早い判断が求められる(ちなみにFEのRTAは、多くの場合強いユニットの「無双プレイ」となる)。

他にもBボタンを禁止したり、レベルアップの結果によってお赤飯を炊いたりと、アイデア次第で様々な制限が考えられる。ぜひ、自分が一番楽しめる縛りプレイを楽しんでほしい。