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2019/02/03

衿沢世衣子の描く「身分制のない教室」 『シンプルノットローファー』から『うちのクラスの女子がヤバい』まで


衿沢世衣子は思春期の少女・少年を描いた作品を多く手がけている漫画家である(もちろん大人を描いた作品も素晴らしい)
その代表作が「モンナンカール女子高等学校」という女子校のクラスメイトたちをオムニバス形式で描いた『シンプル  ノット  ローファー』だが、『うちのクラスの女子がヤバい』は『シンプル~』直系の後継作というべき作品である(実際、2巻の巻末には『シンプル~』のキャラクターが登場するコラボ的オマケページが掲載されている)。

衿沢世衣子の描く「教室」は、読んでいてとても心地よい。そこには「身分制」による別け隔てというものが無いからだ。

2018/04/04

『こち亀』の作風変遷・全盛期・女性観について考える

こち亀は何巻ごろが「全盛期」か? そして、何巻ごろからダメになったのか?

『こち亀』こと『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のファンが集まると、自然とこういう話題になる。
「ファン」なのに「ダメになった」こと前提かよ、とツッコまれるかもしれないが、残念なことに「こち亀は1巻から200巻まで全部最高だよ!」と主張する人はほとんど見たことがないので仕方ない。
マンネリ化・キャラ崩壊・作者の衰え……『こち亀』は日本を代表する長期連載作品であり、それゆえ長期連載作品の負の側面も代表してしまっている。

最も多い意見としては、「100巻までは面白いが、それ以降は……」とよく言われる。
100巻までというのは区切りが良いし、概ね多くの人が同意する分け方のようだ。
もう少し厳しい人は「いや、麻莉愛が出てきたあたり(67巻)からすでに下り坂だ」と主張したりもする。

このようなことを考えながら、今回『こち亀』をざっと読み返してみたので、各時代(10巻単位)ごとの作風の変遷を辿ってみた。

2017/10/08

物語が終わっても、人生は続く―『中2の男子と第6感』最終巻と(長い)エピローグについて


福満しげゆき『中2の男子と第6巻』の最終巻(4巻)を読んだ。

物語としては、3巻の中盤ぐらいで作品の目的である「イジメっ子への逆襲」が半ば完遂されてしまっており、その後はやや中だるみ感が否めなかったものの、とりあえず作中の要素をすべて回収して完結したので満足だ『ゾンビ取りガール』の復活はいつになるのだろうか……?

特に興味深かったのは、やはりラストの展開である。

2016/10/21

「延長戦」が生んだ逆転劇 『いちご100%』の結末について


『いちご100%』を初めて通して読んだ。
週刊少年ジャンプで連載していたときは「お色気ラブコメ枠」としてしか認識していなかったのだが、改めて読むと「青春もの」としても優れた作品だと思った。

特に印象的だったのは、やはりラストの展開、すなわち東城ではなく西野と結ばれるという、ラブコメの予定調和をぶち壊したエンディングである。

2016/07/26

なぜ比呂は高速スライダーを投げなかったのか―『H2』の結末・最終回について


夏なので『H2』を読み返していたが、やっぱり面白い。
高校野球漫画として大傑作なのはもちろんのこと、今回は恋愛作品としての結末、すなわちひかりが主人公の比呂ではなく英雄を選ぶというエンディングに考えさせられた。

初めて『H2』を読んだときは、この終わり方に結構な衝撃を受けた。
主人公は比呂で、メインヒロインがひかり。あだち充(に限らないが)マンガの定石として、2人がくっつく以外の終わり方は想像していなかった。
しかも最後の試合(甲子園準決勝)で、比呂は英雄を三振に取ったのだ。試合に勝ち、勝負にも勝ったのに、恋愛では負けた。こんな終わり方をする野球・恋愛マンガは他に無いのではないか?

しかし今回じっくり読み返して、この展開は決して突飛ではない、必然的な結末だと思い返した。
すなわち『H2』は、「比呂がひかりに(ちゃんと)失恋するまでの話」なのである。