2020/03/19

【MTGアリーナ】初心者がランク戦で魔のプラチナ帯を抜けるために―BO3で強いデッキを対策しよう!

この記事では『Magic:The Gathering Arena』でランクを上げる勝つコツを自分なりにまとめて紹介する。特に初心者~中級者プレイヤーの助けになれば幸いだ。

MTGアリーナの対戦には大きく分けて「プレイ」というフリー対戦と、「ランク戦」というランクマッチが存在する。

このうち「ランク戦」は勝敗によってポイントが上下しランクが変動するというシステムで、下から順にブロンズ→シルバー→ゴールド→プラチナ→ダイヤモンド→ミシックとなっている。

このうち、ブロンズ~ゴールド帯でランクを上げるのはさほど難しくない。
理由は単純で、ゴールド帯までは勝つと+2ポイントだが負けても-1ポイントしかされないからだ。なので、勝率が5割を下回っていても試合数を重ねれば自然にプラチナ帯までは到達できる。

しかし、そこからが難しい。プラチナランクからは+1ポイント、負けると-1になるので、上を目指すには必ず勝ち越さなければならない。

またランクが上がってくると、対戦相手もレアや神話レアが山積みの強力なデッキばかりになってくるので、容易には勝てない。自分も長らくプラチナ帯の底辺であるTier4から抜け出せなかった。ここが初心者にとって最初の壁になるだろう。

初心者がプラチナ帯以上で勝つにはどうすればいいのか? 実体験から学んだコツを以下にまとめた。

 

強いデッキリストを参考にする

カードゲームで勝つために一番シンプルな方法は、強いデッキを使うことだ。当たり前に思えるかもしれないが、とても重要なことだ。

極端な話、どんなにMTGが上手いプロプレイヤーでも60枚全てが《平地》のデッキを使えば絶対に勝つことはできない。使うカードとデッキは、カードゲームの勝敗を大きく左右する。

もちろん、「好きなカードや、自分で考えたオリジナルデッキで勝ちたい!」と思う人もいるだろう。気持ちはよくわかる。カードゲームの楽しみ方は様々であり、勝つことだけが目的ではない。

しかし、ことランク戦で勝率を上げるという目的に特化するのであれば、まずは今一番強いと言われているTier1デッキを使うのが一番の近道だ。その環境でどうすれば勝てるのかが実感として理解できるし、同時にTier1デッキの弱点や欠点も知ることができるので、他のデッキを使う際にも大きな参考になる。

特に、プレイングやカード知識に自信がない初心者のうちこそ強いカードやデッキに助けてもらうべきだと思っている。Tier1デッキで普通に勝てるようになってから、オリジナルデッキ開発に挑戦するという順序をたどる方がスムーズだろう。

強いデッキを探す場合は、まず公式サイトのコラム「デイリー・デッキ」がオススメだ。 日本語でわかりやすくデッキの使い方やカードを解説してくれている。晴れる屋のデッキ検索を使うのも良いだろう。


強いデッキリストを参考にしすぎない

しかし、強いデッキリストをコピーすれば必ず勝てるわけではない。前項と矛盾するようだが、これもまた一つの事実だ。

例えば、先週の世界大会で優勝したデッキをそのままMTGアリーナのランク戦で使っても、必ずしも強いとは限らない。なぜか? 理由は2つある。

一つはプレイングの差だ。例えば、手札破壊の際にどのカードを捨てさせるか、クリーチャーの展開と除去のどちらを優先するかなど、プレイングによってゲームの展開は大きく変わる。プロが使って強いデッキでも、初心者がいきなり使いこなせるとは限らない。


プレイングに自身がない場合はアグロデッキを使う

ではどうすれば良いのか? シンプルな回答としては、初心者はアグロデッキ(軽いクリーチャーを展開して序盤から攻めるデッキ)を使うのがオススメだ。

アグロデッキは戦い方がわかりやすく、クリーチャーを順番に並べて殴っていくだけでいい。もちろん全体除去のケアなどのテクニックもあるが、ミッドレンジやコントロールに比べれば比較的プレイングは簡単だ。削りきれれば勝ち、ダメなら負け。

1試合が短いので、良くも悪くもプレイングの差が出づらいのもメリットだ。ゲームが長引くほど選択肢が多くなるので、プレイングの差が出やすくなる。アグロは勝っても負けてもすぐ終わるので、いわばボロが出づらい。

具体的には、2023年4月現在の環境(「ファイレクシア:完全なる統一」まで)なら、スタンダードなら赤単アグロ、エクスプローラーなら白単人間がおすすめだ。いずれもクリーチャーを並べて殴っていくシンプルな動きであり、複雑なプレイングやメタ理解は必要とされない

もちろん、アグロばかり使っていると引き運や先手後手運に振り回されて疲れることもあるだろう。その場合はミッドレンジやコントロールを使う方がいいだろう。しかし、どんなデッキと戦うのかよくわからないという状態であれば、自分からアグレッシブに動けるデッキの方が安定して戦えるのは間違いない。


大会の優勝デッキがランク戦でも強いとは限らない

以上が「プロの大会で上位に入賞したデッキを使っても勝てない」理由の一つ目である。しかしもう一つ、重要な理由がある。それはメタゲームの差だ。

MTGは対戦相手との相性が非常に重要なゲームである。なので、特定の相手に対して強いデッキ・カードでも、他のデッキに対してはそれほどではない、ということがよくある。

例えば軽い除去カードはアグロ(軽いクリーチャーを展開して序盤から攻めるデッキ)に対しては有効だが、コントロール(除去等で相手を妨害して長期戦に持ち込むデッキ)に対してはほとんど無意味である。逆に打ち消しはコントロールやミッドレンジ(中マナ域の強いカードを主力にしたデッキ)に効果的だが、アグロには無駄になりやすい。

そして、プロは「その大会で一番高い勝率が見込めるデッキ」を持ち込む。なので、もしその大会でその大会で重たいデッキが多いと予測すれば、打ち消しや手札破壊を多く入れたデッキを持ち込むだろう。

しかし、もしプロの大会でミッドレンジやコントロールが多くても、アリーナのランク戦もそうだとは限らない。大会では少なかったはずのアグロとアリーナではよく当たる……なんてことはよくある。その場合、プロの大会では強かったはずの打ち消しはとても弱いカードになってしまうだろう。

「強いデッキ」を使っているはずなのに勝てない……という場合は、だいたいこのパターンである。先週の大会で最強だったリストが、今週のMTGアリーナでも最強とは限らないのである。


デッキの強みと相性を理解する

このように、MTGはデッキ間の相性が非常に重要なゲームだ。しかし慣れていないうちは、自分が使っているデッキが相手のデッキに対して有利なのか不利なのかもよくわからないだろう。

これはじゃんけんで例えれば、「グーとパーのどちらが強いのかわからない」「自分が出しているのがグーなのかチョキなのかよくわからない」という状態であり、大きなハンデとなる。

ここでは主要なデッキ(アーキタイプ)とその相性を簡単に解説する。

アグロ

1~2マナのクリーチャーを主体にした高速デッキ。序盤からクリーチャーを出してひたすら殴っていき、1ターンでも速く相手のライフを0にすることを目指す。スタンダードの赤単やエクスプローラー(パイオニア)の白単人間が該当する。

とにかく序盤から攻められるので、ランプなど遅いデッキ全般に対して有利。一方で軽いクリーチャー除去や全体除去、ライフ回復に弱く、サイドボード後は対策されやすいのが弱点(サイドボーディングがないBO1では相対的に強いのでアグロが多い)。

ミッドレンジ

3~4マナの出しやすく能力も強い中量級のカードを主体に戦うデッキ。現在のスタンダードでは《黙示録、シェオルドレッド》を使う黒系のデッキや、《策謀の予見者、ラフィーン》を主体としたエスパー・レジェンズが該当。エクスプローラーでは《鏡割りの寓話》を使うラクドス・ミッドレンジや《エシカの戦車》を使うグルール機体などが該当する。

相手によって戦い方を変えられるのが強みで、速いアグロデッキに対しては除去で盤面をさばきつつ強いカードで逆転を狙い、逆に遅いコントロールやランプに対しては自分から素早く攻め立てる側に回ることができる柔軟性が魅力。
逆に言えば相手の戦術も熟知している必要があるため、知識とプレイングスキルが問われるやや中級者以上向けのデッキと言える。

相性はデッキのスタイルによるが、一般的にはアグロに対してはカードの質で上回るため有利であり、ランプやコンボに対しては逆にカードパワーに押しつぶされてしまうので不利(MTGは基本的に「相手より少し重いデッキ」が有利となる)。しかし手札破壊や打ち消しによって重たいデッキ相手でもある程度対抗することはできる。

コントロールに対しても基本的には不利と言われてきたが、最近のミッドレンジはアドバンテージ獲得力に長けており、コントロールが盤面を制圧したと思ってもミシュラランド(クリーチャー化する土地)などで攻めを継続できるため、むしろミッドレンジ側が有利なことも多く相性関係は複雑である。

ランプ

土地を増やすカードなどでマナを加速し、重たく強力なカードを素早く叩きつけることを目指すデッキ。スタンダードでは《偉大なる統一者、アトラクサ》をフィニッシャーとした版図系デッキが代表例。

《黙示録、シェオルドレッド》はたしかに4マナのカードとして強いが、《偉大なる統一者、アトラクサ》はそれ以上に強い。ゆえに前述の通りミッドレンジに対して強い。一方で立ち上がりは土地加速に専念するため、その間にアグロデッキに瞬殺されてしまう可能性はあるし、コントロールに対しても打ち消しやハンデスで妨害されると「土地は伸びたが出すカードがない」という状態になりがち。

コンボ

強力なカード同士の組み合わせで一気に勝利を目指すデッキ。エクスプローラーの《大牙勢団の総長、脂牙》で《パルヘリオンⅡ》を3ターン目に墓地から復活させて勝つ「パルヘリオン・シュート」が代表例。

キーカードを揃える必要はあるものの、決まった際の爆発力は最高級。妨害がないデッキに対しては非常に強いが、逆にハンデスや打ち消しなどで妨害されると最悪勝ち筋がなくなってしまうという脆さも併せ持っている。

コントロール

クリーチャー除去や打ち消しでひたすら相手を妨害し、隙を見てカードをドロー、相手の攻め手がなくなったら強いカードを出して試合を終わらせる守りのデッキ。《ドミナリアの英雄、テフェリー》をフィニッシャーとしたエクスプローラーのアゾリウス・コントロールが代表例。

重たいカードで逆転を狙うというスタイルはランプに近いが、あちらが自分の土地を加速するのに対し、コントロールは相手を妨害してゆっくり土地を伸ばしていくという違いがある。

とにかく妨害が得意なので、キーカードが限られているランプやコンボに対してはめっぽう強い。逆に序盤から軽いクリーチャーでどんどん攻め立ててくるアグロは苦手(ただし全体除去を上手く撃つことができれば逆転は可能)。

クロックパーミッション

序盤に軽いクリーチャーを出して殴っていき、相手の強いカードは打ち消しなどで妨害して弾いていく、妨害性能の高いアグロデッキ。エクスプローラーのアゾリウス・スピリットなどが該当。

クリーチャーと打ち消しなどの妨害カードをバランスよく引かないといけないという難しさはあるものの、ハマればアグロとコントロールのいいとこ取りをできる贅沢なアーキタイプ。ランプやコンボに対して強いのはもちろん、コントロールに対しても攻めながら全体除去を妨害できるので相性がいい(《至高の評決》は打ち消せないが)。一方でアグロのように相手から攻めてくるデッキには弱い。

ここまで読んでもらえれば分かる通り、デッキの相性は上から順に円環状になっている。すなわちアグロ←ミッドレンジ←ランプ←コンボ←コントロール←クロックパーミッション←アグロ……と矢印が向いている方向に対して強い。
最低限これだけ理解していれば、「なんでグーを出してるのにパーに勝てないんだろう……」と悩むことはなくなるはずだ。

よく当たるデッキを対策する

よって重要なのは、今、MTGアリーナのランク戦でどんなデッキとよく当たるかを研究することである。

デッキの流行りは繊細で、先週よく使われていたデッキと今週は全く当たらない、なんてことはしょっちゅうある。よく当たるデッキに対して有利なカードを多めに入れるのが、ランク戦で勝つ最大の秘訣である。

例えば、自分がMTGアリーナで始めてミシックに到達できたのは、プレイ開始から約9ヶ月後のゼンディカーの夜明け期だが、当時のスタンダードでは(後に禁止カードとなる)《創造の座、オムナス》を使った4色オムナスデッキが一番人気の環境だった。

そこで自分は、オムナスデッキのキーカードである《創造の座、オムナス》と《水蓮のコブラ》を倒すために、メインから格闘系の除去(《原初の力》と《強行突破》)を計8枚入れた緑単デッキを使っていた。(詳しくはこちらの記事を参照)

これは一般的な緑単アグロと比べるとかなり極端な構成であり、例えばクリーチャーを使わないコントロールに対しては著しく弱くなってしまう。しかしオムナスだらけの環境においてはこれが最も勝率が高い構成だと考え、事実、オムナスデッキを狩って勝率を稼いだことでミシックに到達できたのだ。

 

BO3で戦う

MTGアリーナでは、BO1とBO3という2つの戦い方がある。BO1は1戦だけするシンプルな対戦、BO3は3戦して先に2勝した方が勝ちというマッチ戦である。

おそらくだが、カジュアルにMTGアリーナをプレイしている人はBO1で戦っている人が多数派だろう。特に初心者はそのはずだ。

確かにBO1は1戦ですぐに終わるので気楽に遊べるというメリットがある。しかしランク戦で上を目指すなら、BO3で戦うのがオススメだ。

BO3には以下のようなメリットがある。


ランクが上がりやすい

前述のように、(プラチナ帯以上の場合)BO1だと勝つとランクポイントが+1、負けると-1される。しかしBO3ではマッチ単位で勝敗が決まり、勝つとランクポイントが+2、負けると-2となる。BO3の方がランクの変動幅が大きいのだ。

なので、もしBO1で3戦して「勝ち・負け・勝ち」だった場合、最終的なランク変動は+1だが、BO3で「勝ち・負け・勝ち」ならそのマッチに勝利できるので+2される。同じ勝ち数で倍のポイントを貰えるのだ。

もちろん負けた場合は-2されるので、「BO3はポイントが上がりやすいが下がりやすい」というのが正確な表現だろう。しかしこのゲームのランクは、Tierが上がった直後は負けてもTierが下がらないという仕様がある。またゴールド→プラチナなどランク自体が上がった場合は、下のランクに落ちることはない。

つまり、Tierやランクが上がるメリットが大きいのだ。ならばBO3でどんどんランクを変動させた方が、Tier上昇時の特典を得られる機会も増える。BO3は時間がかかるイメージかもしれないが、実は長い目で見るとランクを上げやすいお得なルールなのだ。


サイドボードから強いデッキを対策できる

BO3のもう一つの魅力は、サイドボーディングだ。1試合ごとに、相手に合わせて必要なカードを15枚のサイドボードからメインデッキに組み込むことができるのだ。

ここで前述の「強いデッキを対策する」観点が活きてくる。もしアグロデッキが多くても、メインから除去をたくさん入れるとコントロール相手には弱くなってしまう。しかしサイドボードからなら、遠慮なく有効なカードを投入することができるのだ。

なのでBO3は、環境で強いと言われるデッキがはっきりしているほど戦いやすいフォーマットだ。
BO1だと無難な、いわゆる「丸い」カードしか入れられないので、どうしてもデッキの地力が勝敗を分けることになる。しかしBO3なら強いデッキ相手でもサイドからしっかり対策すれば、デッキパワーで劣っていても十分に勝ちを狙える。好きなデッキで戦いたい、でも勝ちたい……そう思う人にこそBO3をプレイしてもらいたい。

一つ注意したいのは、同じランク戦でもBO1とBO3で環境は大きく異なる点だ。具体的には、基本的にBO1の方がアグロが多い。コントロールデッキは相手に合わせた妨害カードを入れる必要があり、メイン戦に弱い傾向があるからだろう。BO1とBO3でも強いデッキは異なるので、それぞれに合ったデッキをチューニングしたい。


事故っても気持ちを切り替えられる

これは心理的な問題だが、BO3は3回戦なので、1回負けても「次で取り返せばいい」と考えれば気が楽である。

BO1はどうしても運の要素が大きくなる。アグロデッキに先攻を取られて、なにもできないままやられてしまう経験は誰にでもあるだろう。
その場合でも、BO3の場合は一回は確実にこちらが先攻を取れるし、サイドから除去を増やせば後攻からでもひっくり返しやすい。

ランク戦を続けるには、プレイのモチベーションを保つのも重要である。自分の場合は、BO1で負けると悔しいが、BO3で負けると仕方ないと納得できるので、ランク戦はいつもBO3でやっている。


公式の大会動画を参考にする

どんなゲームでもそうだが、1人でプレイしているとどうしても視野が狭くなってしまう。このデッキはどう使えば良いのか、あの強いデッキにはどうすれば勝てるのか……。それを教えてくれるのが、上手い人のプレイ動画である。

今はプロアマ問わず様々なプレイヤーが動画を出してくれている。中でもオススメなのは公式YouTubeチャンネルの大会中継だ。

公式の大会動画が素晴らしいのは、双方のプレイヤーの手札が常に見られる点。自分がプレイしている時はわからない俯瞰視点でゲームを確認できるので、とても役立つ。

解説付きなのもありがたい。何気ないプレイに込められた意図まで細かく解説してくれるので、学ぶことが多い。特にプロが自分と同じデッキを使っている試合は必見だ。


おわりに

いろいろ書いたが、一番大切なのはやはり「よく当たるデッキに勝てるようにする」ことだと思っている。一番人気のデッキを「お得意様」にできる構成なら、自然と勝率は上がってくる。

もちろん、勝ちを焦りすぎないのも重要だ。同じデッキでも環境が違えば強さは変わる。焦らずゲームを楽しみつつ、今なら勝てそうだという行けそうなタイミングで本腰を据えてプレイするのがランクを上げるコツだ。