2021/11/17

【ミシック到達】ディミーア・ゾンビ(イニストラード:真紅の契り期)~アグロとコントロールの二刀流~

(※この記事の内容は2021年11月のスタンダード環境【ゼンディカーの夜明け~イニストラード:真紅の契り】に基づきます。)

「イニストラード:真紅の契り」が実装され、世間では《スレイベンの守護者、サリア》が再録された白単アグロや、《船砕きの怪物》をフィニッシャーにしたイゼット・コントロールが人気を博しているようだが……個人的な注目はなんといってもゾンビデッキ

「真夜中の狩り」から存在しているアーキタイプ、「真紅の契り」の新カードで大幅に強化され、Tier1デッキとも渡り合えるようになったと思っている。

ランクマッチBO3で戦いスムーズにミシックまで到達できたので、今回はそのリストを紹介したい。

デッキリスト



基本的にはクリーチャーを横に並べ、除去で盤面をこじ開け、打ち消しで強いカードを弾いて殴り勝つビート・コントロールデッキである。

しかしこのデッキが面白いのは、アグロデッキ相手にはサイドボーディングで軽いクリーチャーを抜いてコントロールとして振る舞えること(具体例は後述)。コントロールにはアグロとして、アグロにはコントロールとして臨機応変に振る舞えるのだ。

採用カード

《滅びし者の勇者》

ゾンビデッキにおけるベストな1マナクリーチャー。スタンダード全体で見ても、1マナのクロックとしては最高級だろう。

後続を出すだけで簡単にサイズアップしていくので、序盤からダメージを稼ぎやすい。このカードがあるからこそコントロールデッキ相手に短期戦を挑むことができる。

 

《ワイト》

 

2マナパワー3の優秀なアタッカー。相手のクリーチャーを破壊すればトークンが生まれるので、小型クリーチャーにチャンプブロックされても損にならない。具体的には《ひきつり目》や《よろめく怪異》、《黄昏の享楽》のトークンに強い。

戦闘で相打ちになってもトークンが生まれるので、アグロ相手へのブロッカーとしても悪くない。ただしタップインなのがネック。あくまで攻め用の強いカードだ。

 

《穢れた敵対者》

 

2マナ2/3接死というサイズが地味ながら優秀。特にブロッカーとして強く、《スレイベンの守護者、サリア》をしっかり抑えられるのが大きい。

もちろんアタッカーとしても使えるため、アグロ相手にもコントロール相手にも腐らない。こうした中間的なカードのおかげで、サイドからのコントロールプランへの切り替えが可能になる。

 

《ネファリアのグール呼び、ジャダー》

 

2マナながら毎ターン腐乱ゾンビを生み出す強力なクリーチャー。《滅びし者の勇者》とのシナジーは抜群。

腐乱ゾンビはブロックに参加できないので、基本的はアタッカーとして使うことになる。攻めに特化したカードであり、コントロールに強いがアグロには弱い。伝説であることも含め、メイン・サイドに1枚ずつの採用とした。

 

《縫込み刃のスカーブ》

 

ゾンビのロード。ゾンビらしく(?)パワーしか上がらないものの、攻める展開では必須。自身も2/3なのでブロッカーとしても悪くない。


《首無し騎手》

「真紅の契り」の新カードだが、このデッキにおいて非常に重要な役割を持つ1枚。自身かゾンビが死亡するとトークンが生まれるため、単純に除去を撃たれてもクロックが減らなくなる。

特に全体除去対策として強力で、こいつさえいればいくらゾンビを横並べした後に全体除去を撃たれても、その分2/2トークンが生まれるため継続して攻め続けることができる。
現環境では全体追放の《影の評決》は採用率が低いため、かなり信頼度が高い除去耐性と言えるだろう。

自分の全体除去とも相性が良く、相手のクリーチャーを流しながらこちらだけトークンで盤面を回復することができる。
コントロール相手には除去耐性となり、アグロ相手にもトークンをブロッカーとして使える。ゾンビデッキの対応力を上げた素晴らしいカードだ。

 

《過充電縫合体》

こちらも「真紅の契り」の新カード。打ち消しとして構えつつ、相手が動かなければ飛行クロックにもなる。
呪文だけでなく能力も打ち消せるので、ミシュラランドを1ターン止めることも可能。

他のクリーチャーを濫用すれば自身が盤面に残るため更に強力だが、無理に生け贄シナジーを重視しなくても打ち消しかクリーチャーかモードを選べるというだけで十分に強力。


《ドラコリッチ、エボンデス》

こちらも瞬速と飛行を持ったクリーチャー。パワーが高く、スムーズにゲームを決められるクロックとなる。全体除去の返しに撃てると強力。

地上戦を無視できるので、特に緑単相手に強い。反面白単など飛行クリーチャーが多い相手だと相打ちを取られやすい。ブロッカーとしても弱いので、相手によって使い方を考えたい。


《消えゆく希望》

 

様々なデッキで使われている優秀なバウンス。このデッキもドロー補助・マナ補助が乏しいので、占術1が染みる場面は多い。

バウンスは長期的に見るとカード・アドバンテージを失ってしまうものの、このデッキはクロックを刻んで早めに勝負を決めに行くことができる。基本的には重たいクリーチャーを戻してテンポを稼ぎたい。

 

除去(《血の長の渇き》《冥府の掌握》《落第》《パワー・ワード・キル》《ハグラの噛み殺し》)

 

除去枠は種類を散らして採用。いずれも一長一短なので、環境と好みに合わせてチューニングしたい。

《パワー・ワード・キル》はイゼット・ドラゴンには無力だが他には強い。ドラゴン相手なら除去はたくさんいらないので、 サイドに多めに採用している。


《食肉鉤虐殺事件》

 

フレキシブルで使いやすい全体除去。軽い相手(白単など)にはX=1で、重めのミッドレンジにはXを大きくして撃つことができる。

おまけのライフドレイン効果も重要で、相手ライフが残り数点の時に、こちらのクリーチャーが並んでいる状態でこれを撃ってトドメを刺すことが可能。

 

《アガディームの覚醒》

 

数少ないマナフラッド受け。軽いクリーチャーが多いので5~6マナで撃てれば十分。


《目玉の暴君の住処》

 

回避能力(威迫)を持つ優秀なミシュラランド。《ストーム・ジャイアントの聖堂》は重すぎるため、《不詳の安息地》はマナベースが厳しいため不採用。


《激しい恐怖》

 

ゾンビ以外に-3/-3修正を与えられるため、実質的に相手のクリーチャーだけを除去可能。

ゾンビデッキと相性抜群! 当然4枚採用! ……と思っていたのだが、いくつかの理由から次第に採用枚数が減っていき、今はサイドに1枚だけにとどまっている。

その理由は、まずタフネス4以上の仮想敵が少なくないこと。
具体的にはイゼット系デッキの《黄金架のドラゴン》《くすぶる卵》、緑単の《老樹林のトロール》、白単の《輝かしい聖戦士、エーデリン》などであり、中盤以降の全体除去としてはやや信頼度が薄い。

もう一つは、メインデッキに入れてしまうとコントロール相手にはほぼ完全に死に札になってしまうこと。《食肉鉤虐殺事件》なら一応ライフドレイン目当てに使えるが、こっちは軽いクリーチャーがいない相手には使い道がない。

加えてサイド後はアグロ相手にはコントロールプランに切り替えるため、《激しい恐怖》の「こちらのクリーチャーがやられない」というメリットがあまり活きないのだ。もちろん役立つ場面もあるのだが、基本的には汎用性が高い《食肉鉤虐殺事件》を優先している。

 

《軽蔑的な一撃》

 

対コントロール・ミッドレンジにサイドイン、全体除去や《黄金架のドラゴン》《アールンドの天啓》を弾いてもらう。

 

《才能の試験》

 

《アールンドの天啓》用。 どれだけ有利にゲームを進めていても《アールンドの天啓》連打から負けてしまう可能性があるため、お守り代わりに。

 

《記憶の氾濫》


アグロ相手にサイド後コントロールとして振る舞う際に重要なカード。ドローカードの候補は多いが、やはり1枚で2回2ドローできるカードパワーは飛び抜けている。


《溺神の信奉者、リーア》

 

コントロールプラン時のフィニッシャー。個人的には、現スタンダードで最もカードパワーが高い一枚だと思っている。

単純に墓地にインスタント・ソーサリーが5枚落ちていれば、出すだけで実質5ドロー。1枚でアドバンテージを回復する能力は随一であり、アグロ相手に1対1交換を繰り返して、双方手札が無くなった状況で着地させれば勝利は目前だ。


サイドボーディング

対コントロール(イゼット他)

  • In
    • 《ネファリアのグール呼び、ジャダー》×1
    • 《軽蔑的な一撃》×2
    • 《才能の試験》×1
  • Out
    • 《血の長の渇き》×1
    • 《冥府の掌握》×1
    • 《落第》×1
    • 《食肉鉤虐殺事件》 ×1

コントロール相手には、除去を抜きクリーチャーとカウンターを入れる。
とにかく素早くライフを削り切るのが勝ち筋なので、中途半端に《記憶の氾濫》を入れてはならない。


対アグロ(白単)

  • In
    • 《パワー・ワード・キル》×3
    • 《食肉鉤虐殺事件》×3
    • 《激しい恐怖》×1
    • 《記憶の氾濫》×3
    • 《溺神の信奉者、リーア》×1
  • Out
    • 《滅びし者の勇者》×4
    • 《ワイト》×4
    • 《ネファリアのグール呼び、ジャダー》×1
    • 《縫込み刃のスカーブ》×2

アグロ相手には逆に、除去を入れて軽いクリーチャーを抜き、重めのコントロールとして振る舞う。
除去で攻撃をしのぎつつ、相手の攻め手が緩んだら《過充電縫合体》や《目玉の暴君の住処》で殴りにかかろう。