ヒストリックパウパーの記事に続き、今回はヒストリックの職工のおすすめデッキを紹介。
職工はパウパーと同じくMTGアリーナにて定期的に開催されるイベントの一つで、アリーナに実装されているコモンとアンコモンのカードのみ使用可能なフォーマットだ。
アンコモンが使える分パウパーに比べるとカードパワーはかなり上がり、普通の構築用リストと比べても遜色ないレベルのデッキも珍しくないが、派手な効果のレアカードが使えない分細かいプレイングが重要視されるという点は同様で、オリジナリティ溢れる多様なデッキと戦える貴重な場所でもある。以下はその中から主要なデッキを紹介する。
※以下の内容は2023年12月現在(アリーナ版「タルキール覇王譚」まで)の内容に基づきます。
赤単アグロ
デッキ
4 熊野と渇苛斬の対峙 (NEO) 152
4 僧院の速槍 (BRO) 144
4 静電式歩兵 (DMU) 122
4 レンジャーの松明 (LTR) 143
4 火遊び (MID) 154
4 稲妻の一撃 (DMU) 137
4 静電気の放電 (J21) 25
2 灼熱の銘 (LTR) 126
4 批判家刺殺 (RNA) 115
4 無謀なる衝動 (VOW) 174
4 舞台照らし (RNA) 107
14 山 (AFR) 276
4 ラムナプの遺跡 (AKR) 326
まずはどんな環境でも最速のアグロデッキ、赤単から。
軽いクリーチャーで攻め立てつつ火力で直接ライフを狙う定番の構成。遅くライフ回復がない相手には速攻でゲームを終わらせる攻撃力がある。
攻め一辺倒に見えるが、火力で除去しつつ《舞台照らし》などにより意外な粘り強さもある。
ラクドス・サクリファイス
デッキ
4 A-大釜の使い魔 (ELD) 81
2 よろめく怪異 (AFR) 119
4 貪欲なるリス (MH2) 211
4 税血の収穫者 (VOW) 232
4 波乱の悪魔 (WAR) 204
4 魔女のかまど (ELD) 237
4 ザンダーの目覚め (Y22) 9
4 鬼流の金床 (NEO) 230
4 致命的な一押し (KLR) 84
4 電圧のうねり (NEO) 171
4 命取りの論争 (AFR) 94
9 沼 (SIR) 283
5 山 (SIR) 287
4 凶兆の廃墟 (SIR) 265
職工で強いデッキの条件の一つに「普通の構築戦で強いデッキを再現できる」というものがある。スタンダードやヒストリックでも活躍し、エクスプローラーでも現役のTier上位デッキであるラクドス・サクリファイスはその代表だろう。
《大釜の使い魔》は再調整によりブロック不可となって弱体化しているが、それでも《魔女のかまど》との2枚コンボでライフドレインしていく動きはシンプルながら強力。《波乱の悪魔》と組み合わさるとあっという間に相手のクリーチャーを掃除してしまう強さも健在である。
アリーナオリジナルカード《ザンダーの目覚め》もゆるい条件でクリーチャーをドラフトできる強力なアドバンテージ源。《鬼流の金床》と並んで職工でも有数のカードパワーを誇る。
ライフゲインによりアグロ系に強く、アドバンテージ獲得力もあり、除去も豊富といずれの面でも隙がなく、ヒストリック職工で最強格のデッキと言っていいだろう。
メタゲームを意識するのであれば、少なくとも《波乱の悪魔》を処理できるカードは何枚か採用しておきたいところだ。
セレズニア・ライフゲイン
デッキ
4 月皇の古参兵 (MID) 27
4 魂の管理人 (M10) 34
4 命の恵みのアルセイド (THB) 1
4 裕福な亭主 (AFR) 200
4 アジャニの群れ仲間 (WAR) 4
4 神聖なる僧侶 (ANB) 9
4 月の踊り手、トレラッサーラ (AFR) 236
4 クレリック・クラス (AFR) 6
4 貴族の不面目 (HBG) 25
2 南小路のロージー・コトン (LTR) 27
3 小走り樫 (MH2) 172
10 平地 (KHM) 394
4 森 (M20) 278
4 花咲く砂地 (M20) 243
4 要塞化した村 (SIR) 267
アグロ相手に強いのが、このソウルシスターズとも呼ばれるライフ回復系デッキ。
《魂の管理人》や《裕福な亭主》などのクリーチャーを出す度に回復が発生するカードと、《アジャニの群れ仲間》や《月の踊り手、トレラッサーラ》などの回復の度に強化されるクリーチャーを組み合わせたシナジー重視のビートダウンデッキである。
このデッキの特徴は《小走り樫》と《南小路のロージー・コトン》の2枚で可能な無限コンボを搭載していること。
《小走り樫》が戦場にいる状態で《南小路のロージー・コトン》を出すと、食物トークンが生成され+1/+1カウンターが《小走り樫》に乗る。すると《小走り樫》の効果でリストークンが生成され、《南小路のロージー・コトン》の効果で《小走り樫》が強化され……と無限強化&無限トークンが可能になる。(ちなみに《南小路のロージー・コトン》の代わりにレベル2以上の《クレリック・クラス》と《魂の管理人》or《裕福な亭主》or《月皇の古参兵》でも無限コンボが成立する。)
こうなれば当然ながら全体除去を撃たれない限りは次のターンの総攻撃で勝利が確定する(アリーナの仕様上クリックが面倒&コンボ中に持ち時間がなくなってしまうので実際には無限ではないのだが)。
(ヒストリック職工の全体除去には、パウパーと同様《祭典壊し》などの全体1点火力、《息詰まる噴煙》などの全体-1/-1修整の他、《焦熱の連続砲撃》《ブレス攻撃》などの全体2点火力と、《陰惨な実現》などの全体-1/-1修整がある。)
もっともこのコンボ自体はインスタント除去一枚で妨害されてしまうし、それ以外でも全体的にクリーチャー除去に弱く、カードアドバンテージを稼ぐ手段も殆どない。全体的に安定性に欠けるのが難点と言えるだろう。
ミラーマッチになるといつまで経っても終わらないのも弱点と言えば弱点。2枚の《ガイアの祝福》によりライブラリーアウトを防いで延々持久戦に持ち込むことはできるが、相手も同じ構成だと泥沼化してしまう。挑む際はある種の覚悟を。
イゼット・ウィザード
デッキ
4 A-対称の賢者 (STX) 56
4 A-ドラゴンの怒りの媒介者 (MH2) 121
4 艱難辛苦の弟子 (Y24) 16
4 弾けるドレイク (GRN) 163
4 考慮 (MID) 44
4 手練 (WOE) 67
2 選択 (M21) 59
3 A-導師の導き (STX) 46
4 表現の反復 (STX) 186
4 ロリアンの発見 (LTR) 60
4 焦熱の衝動 (ORI) 145
4 削剥 (AKR) 1361 ガンダルフの制裁 (LTR) 208
6 冠雪の島 (KHM) 278
4 冠雪の山 (KHM) 283
1 プリズマリの学舎 (STX) 270
2 移り変わるフィヨルド (KHM) 273
1 貴顕廊一家の劇場 (SNC) 251
本家ヒストリックでも有力なデッキの一つ。職工では《損魂魔道士》と《戦慄衆の秘儀術師》が使えないものの、それ以外はクリーチャー・スペル共に粒ぞろいであり、デッキパワーはかなり高い。
(ウィザードと言いつつ上のリストではウィザードが少なめなので《魔術師の稲妻》は非採用だが……。)
《対称の賢者》と《導師の導き》は共にアルケミーの再調整で大きく強化されたカードであり、《対称の賢者》は能力誘発によるパワー変更が2→3に、《導師の導き》も3マナ→2マナになっている。
序盤から殴っていき、火力で除去しつつライフを詰めるという動きは赤単と同じだが、青を入れたおかげでアドバンテージ獲得力が大きく上がっているのが強み。
各フォーマットで禁止になっているパワーカード《表現の反復》をフル活用できるのはもちろん、条件を満たしていれば同じく2マナ2ドローとなる《導師の導き》もあるため、ドロー力はかなりのもの。長期戦になったら、サイズが大きくなった《弾けるドレイク》で一発逆転も狙える。
アゾリウス呪禁オーラ
デッキ
4 サイバの暗号術師 (MOM) 76
4 不可視の忍び寄り (SIS) 17
4 ヘリオッドの巡礼者 (THB) 20
4 天上の鎧 (RTR) 9
2 歩哨の目 (THB) 36
4 きらきらするすべて (ELD) 2
4 持続のルーン (KHM) 25
4 警備の抜け道 (SNC) 59
4 圧倒的洞察 (THB) 228
1 蝋燭罠 (MID) 9
4 考慮 (MID) 44
1 証人保護 (SNC) 66
6 平地 (THB) 278
6 島 (THB) 280
4 天橋塔 (SNC) 256
4 港町 (SIR) 273
ヒストリックパウパーでも見られた呪禁オーラだが、職工では《不可視の忍び寄り》に加え《サイバの暗号術師》が登場したことで2マナ呪禁クリーチャーが2種となり、かなり安定度の高い動きが可能になっている。
クリーチャーが初手に来るまでマリガンし、後はひたすらオーラを貼り付けるだけなのだが、普通のデッキ相手ならほぼ妨害されないので、高い確率で10/10先制攻撃・絆魂・警戒・飛行といった最強クリーチャーが誕生する。
これに対抗するには、布告除去(生け贄に捧げさせる効果)や全体除去、打ち消しやエンチャント破壊など専用の対策が必要になるが、BO1が前提である職工イベントでは難しく、純粋な勝率では今回挙げたデッキの中でもナンバーワンだった。意識するなら《シェオルドレッドの勅令》などを除去として採用したい。
マルドゥ祭殿コントロール
デッキ
1 穏やかな光の聖域 (M21) 33
4 石の牙の聖域 (M21) 120
4 激憤の本殿 (CHK) 172
4 廃れた高地の聖域 (M21) 157
1 夜陰の本殿 (CHK) 116
4 血の長の渇き (ZNR) 94
2 致命的な一押し (KLR) 84
2 喉首狙い (BRO) 102
2 喪心 (DAR) 81
4 火山の悪意 (MOM) 170
4 苦々しい再会 (BRO) 127
6 沼 (LCI) 397
6 山 (LCI) 399
2 日向の湿地 (DMU) 257
4 凶兆の廃墟 (SIR) 265
2 聖なる峰 (DMU) 254
4 遊牧民の前哨地 (KTK) 237
ヒストリックパウパーや職工では、純然たるコントロールデッキが組みづらい。全体除去が弱いためそもそも戦場を捌きづらく、仮にコントロールできたと思ってもそこから1枚で勝つことができるフィニッシャー=パワーカードが存在しないからだ。
そんな職工環境で、珍しくクリーチャーを一切使わない本格派のコントロールデッキがこのマルドゥ祭殿だ。祭壇とは「祭壇」の数を参照して強化されていく伝説のエンチャントで、これらを上手く並べることができればそのまま圧倒的なライフアドバンテージを得て勝利することができる。
特に優秀なのが《激憤の本殿》で、毎ターンクリーチャーを除去しながら相手プレイヤーにもダメージを飛ばせるためそのままフィニッシャーにもなれる優れもの。
このリストでは赤と黒をメインに白をタッチしているが、青や緑を入れて多色化するのも面白い。
部族系アグロ
職工ではアンタップインの土地が限られている(「イニストラードリマスター」で実装された友好色バトルランドぐらい)ため基本的に多色アグロは組みづらいのだが、部族系デッキは例外である。《閑静な中庭》《手付かずの領土》《古代の聖塔》といったクリーチャーを支援する多色土地が複数存在するからである。以下に代表例をいくつか挙げておく。
ジェスカイ騎士
デッキ
4 ベナリアの騎士の助言者 (Y23) 1
4 尊い騎士 (ELD) 35
4 徴兵士官 (BRO) 23
4 不屈の護衛 (DAR) 14
4 エンバレスの古参兵 (WOE) 127
4 銅纏いの先兵 (MAT) 1
4 ザルファーの司令官 (MOM) 246
4 鼓舞する古参 (ELD) 194
4 ガヴォニーの黎明護衛 (MID) 20
4 貴族の不面目 (HBG) 25
2 シェフェトの砂丘 (AKR) 329
8 平地 (JMP) 43
2 試合場 (ELD) 248
4 閑静な中庭 (NEO) 275
4 手付かずの領土 (XLN) 258
優秀な1マナクリーチャーと3種のロードで攻め立てる騎士デッキ。《試合場》でマナベースがさらに強固になっている。
マルドゥ吸血鬼
デッキ
4 凶月の吸血鬼 (M20) 120
4 敵意ある征服者 (XLN) 128
4 変わり身ののけ者 (MH1) 82
2 ヴォルダーレンの美食家 (VOW) 182
4 才気ある霊基体 (KLR) 91
4 税血の収穫者 (VOW) 232
2 流城の密教信者 (SIR) 179
4 軍団の副官 (RIX) 163
4 マルコフ男爵 (MAT) 14
4 流城の隊長 (SIS) 67
7 沼 (SIR) 283
5 山 (SIR) 288
4 凶兆の廃墟 (SIR) 265
4 閑静な中庭 (NEO) 275
4 手付かずの領土 (XLN) 258
こちらも3種のロードを有する。接死・絆魂・先制攻撃によりアグロ対決に強い。
シミック・マーフォーク
デッキ4 海辺の斥候 (J21) 124 クメーナの語り部 (XLN) 1964 陥没穴の偵察 (LCI) 1784 銀エラの達人 (RIX) 534 マーフォークのペテン師 (DAR) 564 マーフォークのトンネル案内 (Y24) 254 マーフォークの霧縛り (RIX) 1644 メロウの騎兵 (LRW) 744 凶暴な一振り (MH1) 1784 紆余曲折 (MH1) 1936 島 (HBG) 2946 森 (DMU) 2744 手付かずの領土 (XLN) 2584 閑静な中庭 (NEO) 275
こちらはマーフォークデッキ。2種のロードに加え、《マーフォークのトンネル案内》の探検により更にサイズが上昇するためパワフル。
ディミーア忍者
デッキ
4 羽ばたき飛行機械 (M10) 216
4 A-未来派の調査員 (NEO) 53
4 フェアリーの予見者 (MH1) 51
4 変わり身ののけ者 (MH1) 82
4 A-月回路のハッカー (NEO) 67
4 A-銀毛の達人 (NEO) 236
2 深き刻の忍者 (J21) 39
4 巧妙な潜入者 (MH1) 204
4 致命的な一押し (KLR) 84
2 シェオルドレッドの勅令 (ONE) 108
2 喪心 (DAR) 81
2 喉首狙い (BRO) 102
9 島 (NEO) 285
7 沼 (NEO) 288
4 詰まった河口 (SIR) 264
最後は忍者デッキ。
0マナでテンポよく出し直せる《羽ばたき飛行機械》や。多相により忍者でもあるブロックされない《変わり身ののけ者》といった忍術と相性のいいカードを採用している。
強力なドローを持つ《巧妙な潜入者》とロードである《銀毛の達人》が優秀で、《致命的な一押し》と忍術の相性も良い。