緑アグロでずっとBO3ランクマッチを戦っていたのだが、月末ギリギリに目標としていたミシックランクに滑り込み到達!
ということで満を持して、ZNR環境で新しくなった緑単デッキを紹介。
(ローテーション前の記事も参照)
※この記事の内容は2020年9月30日のスタンダード環境(エルドレインの王権~ゼンディカーの夜明け、ウーロ禁止後)に基づきます。
デッキリスト
緑単はローテーションにより《生皮収集家》《樹皮革のトロール》と言った優秀な小型クリーチャーを失ったが、一方で《探索する獣》や《グレートヘンジ》と言ったエースカードは健在。十分有力なアーキタイプだ。
メインは4マナを頂点とする高速~中速ビートダウンであり、優秀な3~4マナクリーチャーを展開して殴り切るのが勝ち筋。
《原初の力》や《石とぐろの海蛇》によるマナフラッド受け、《漁る軟泥》で墓地利用・《水晶壊し》で置物対策を出来る点が魅力。様々な相手に対応できる柔軟性がウリである。
メインデッキ
《僻森の追跡者》
前述の通り《生皮収集家》のローテーション落ちは緑単においてもっとも大きな打撃である。
最良の1マナアタッカーだった《生皮収集家》の後釜に入ったのは、《僻森の追跡者》。人間以外の味方がいれば2/2となり、《生皮収集家》ほどではないが十分な戦闘要員となる。
しかし所詮は2/2であり、本質的にはさほど強いカードではないと思っている。最初は4枚入れていたが、徐々にメインの枚数が減っていってしまった。
このデッキの1マナ枠は《切なる想い》と1マナ《石とぐろの海蛇》の8枚があるので、いっそのこと《僻森の追跡者》を完全に抜いてしまうのもアリだろう。
(他の1マナ枠候補である《群れのシャンブラー》はあまり使えてないので現在試し中)
《漁る軟泥》
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は禁止になったが、ならず者やライブラリーアウト系などの切削デッキ、《夢の巣のルールス》などを使うリアニメイト系デッキは一定数いるため、それらに対する強力な対策となる。
そういった特殊なデッキ相手でなくてもビートダウン相手なら能力発動の機会は多く、単純に2マナクリーチャーとして優秀。メインからデッキパワーを落とさずに特定の戦術を対策できるというのがありがたい。
《恋煩いの野獣》
引き続きこのデッキの主力。
5/5の戦闘要員としてはもちろん、《原初の力》や《強行突破》の格闘除去のタネに、《グレートヘンジ》のコスト軽減役にと様々な役割を持てる。
1/1トークンを除去されると攻撃できなくなってしまうが、2枚目の《切なる想い》や、X=1の《石とぐろの海蛇》を出せば引き続き攻撃可能。複数枚投入する恩恵も大きいため、基本4枚固定で良いだろう。
《ガラクの先触れ》
除去耐性とアド生成能力を併せ持つ優秀な3マナクリーチャー。
現環境は黒の単体除去が非常に豊富(《血の長の渇き》《無情な行動》《取り除き》《ハグラの噛み殺し》等)なため、「黒からの呪禁」はかなり頼れる除去耐性。
黒のコントロールデッキ相手にはサイドボードからフル投入し、主力となる。
ダメージが通ればクリーチャーかガラクを疑似ドローできる。クリーチャーが多めのこのデッキなら、4枚めくれば高い確率でクリーチャーは見つかるので信頼性がある。
ゆえに攻撃がチャンプブロックで阻まれやすく、タフネス3で戦闘破壊されやすいのが弱点だが、《水晶壊し》や《解き放たれた者、ガラク》でトランプルを付与できれば強力。
《カザンドゥのマンモス》
裏面で出せばタップインの土地としても使えるクリーチャー。
3マナ3/3は最低限だが、上陸すれば5/5と野獣に並ぶサイズに。
アタッカーとしてはもちろん、3ターン目にマンモス→4ターン目に土地を出して上陸→《グレートヘンジ》という流れも狙えるのが強力。
ローテーションによって《楽園のドルイド》が失われてしまい、最初は《イリーシアの女像樹》などのマナクリを代わりに入れていたのだが、やはり呪禁がない分除去で倒されやすく、マナスクリュー防止役としては不安があった。
しかしこの《カザンドゥのマンモス》を投入したことで、土地事故が大きく減った。
アグロデッキにとってタップインランドはデメリットに思えるが、実際は1~2ターン目に使いたいカードがない場合も多く、その隙にタップインを処理しておけばさほどのデメリットでも無い。
マナスクリュー軽減という観点で見れば、《楽園のドルイド》よりも安定性は高い。
このゲーム最大の敵である土地事故を防止できると考えると、4枚投入したいカードである。
《水晶壊し》
アーティファクト・エンチャントを破壊できる変容クリーチャー。
見た目は4マナクリーチャーだが実際には3マナで変容させることのほうが多いので、除去機能付きのオーラのような存在である。
現環境はアドベンチャー系の《幸運のクローバー》を始め、4Cオムナスの《フェリダーの撤退》、赤系ビートダウンの《エンバレスの宝剣》、ライブラリーアウト系の《テフェリーの後見》、ヨーリオン系コントロールの各種エンチャントなど破壊したい置物が多く、メインから複数枚積んでもイキイキと活躍してくれる。
また到達はディミーア・ローグに対して有効であり、守備範囲が広い。
置物破壊効果を除いても、サイズを最低4/4にしつつ到達とトランプルを付与できる。《石とぐろの海蛇》に乗せれば大きくサイズアップできるし、《探索する獣》と組めば接死トランプルのコンボに。
残念ながらこのデッキではスロットが足りず非採用となったが、《ギャレンブリグの領主、ヨルヴォ》との相性も抜群。
個人的にはミシック到達までの道のりで一番活躍してくれたカードだと感じている。特に対アドベンチャーデッキで、メインから《幸運のクローバー》対策が出来たことが勝率を大きく押し上げてくれたと感じる。
《探索する獣》
説明不要の超スペック獣。
どんな相手でもどんな時でも強い。こいつを4マナで確実に出せるのが緑単の大きな強みである。
(ただしディミーア・ローグに対してはやや役割が薄くなるため、数枚サイドアウトしても良いかも知れない。)
《石とぐろの海蛇》
2~3ターン目にマナカーブの隙間を埋めるのはもちろん、終盤に大きなコストで出せばトランプル持ちのフィニッシャーになるし、X=1で出せば《恋煩いの野獣》の起動役になる。《探索する獣》とはまた違った意味で、いつ引いても役立つタイプのカードである。
汎用カードとしても強いが、到達とプロテクション多色で《空飛ぶ思考盗み》や《スプライトのドラゴン》を潰せるのも優秀。
《解き放たれた者、ガラク》
ローテーションで去った《アーク弓のレインジャー、ビビアン》の代わりに収まった4マナプレインズウォーカー。
+1効果の+3/+3&トランプル付与で、クリーチャー同士の殴り合いを大きく有利にできるのが利点。
ビビアンのように除去はできないが、-2効果でビーストトークンを生み出せるため盤面が寂しい状況からのリカバリーも可能。
さらに-7の奥義は毎ターンデッキからクリーチャーが飛び出すという超強力なもの。
しかし最低3回は+1効果を起動する必要があり、+3/+3強化をつけて3回殴っているなら奥義を撃たなくても勝てるだろう……というのはご愛嬌。事実、自分もガラクの奥義は一回も使ったことがない。
《原初の力》
強化と除去を兼ねた強力ソーサリー。《捕食》を頑張って使っていた頃を考えると、涙が出てくるほど高性能である。
強化しながら格闘で盤面をこじ開け、そのまま殴って打点を稼ぐ……とシンプルながら見事に噛み合った性能。1マナで軽い除去として使っても良し、終盤に大きなXで撃ってそのままフィニッシュに持ち込むも良し。柔軟性と派手さを併せ持った、緑を体現する良呪文と言えよう。
《強行突破》
除去枠その2。2マナだがインスタントで相手からのダメージを受けないのが利点。
パワーこそ上げられないものの、純粋に除去カードとして見た場合はこちらの方が取り回しが効くため一長一短。
またトランプル持ちと組み合わせればバーンカードとしても使えるので、終盤には意識しておきたい。
現環境のトップである4Cオムナスは《水蓮のコブラ》と《創造の座、オムナス》を速やかに除去するのが必須条件なので、《原初の力》と《強行突破》を4枚ずつ、計8枚メインから積んでいる。
しかし他のデッキ相手でも、アドベンチャーデッキの《エッジウォールの亭主》やライブラリーアウトデッキの《遺跡ガニ》など除去したいクリーチャーは多く、さほど過剰ではない。コントロールデッキが増えない限りはこれぐらい除去があっていいだろう。
《グレートヘンジ》
引き続き、ギャレンブリグの至宝にして緑単の切り札。
設置できれば継続的なアドで相手を圧殺できる比類なきパワーカード。体感でも、ヘンジを出せた試合は8割以上勝っている。
とても強いカードだが、盤面とマナの両方が整っていなければ出せないこと、複数枚引くと高い確率で腐ることから投入枚数には慎重にならざるを得ない。
3枚積みも試したが、やはり事故率が上がって苦しかったので、2枚が限界かつ適正だと思っている。
《変わり樹の共生》
裏面で出すと土地(タップインor3点ダメージ払ってアンタップイン)になるソーサリー。
他の裏面土地と違うのは、3点支払えばアンタップインできること。タップインのリスクを回避できるので、とりあえず1枚ぐらい基本土地と入れ替えとくか……という気持ちで入れている人が(自分含め)多いと思われる。
7マナを撃てる機会はさほど多くはないが、《グレートヘンジ》からこれを撃てた時は強力な動きとなる。
サイドボード
《レインジャーの悪知恵》
1マナで呪禁を付与できる便利な防御カード。+1/+1付与でささやかなコンバットトリックにも使える。
とは言え基本的には相手のカードに対処する受動的なカードであり、コントロールが多くない現環境ではサイド4積みが定位置だろう。
ちなみに2マナで戦場全体を守れる《英雄的介入》もあるが、こちらは《絶滅の契機》や《精霊龍、ウギン》の全体追放を阻止できないという致命的な問題がある為、サイドからも抜けてしまった。《空の粉砕》や《嵐の怒り》が多い環境になればまた返り咲けるかも知れない。
《影槍》
対ビートダウン用。赤単相手には絆魂でライフレースが大きく楽になる。
アドベンチャーの《恋煩いの野獣》ミラーでも有用。厄介な《歴戦の神聖刃》もこれがあれば怖くない。
《岸壁安息所の歩凧》
同じく対ビートダウン用だが、ほぼ対アドベンチャー専用機である。
アドベンチャーデッキ相手では《恋煩いの野獣》や《豆の木の巨人》の高タフネスで地上を止められることが多いため、飛行が生きることが多い。以前使っていた《傲慢の翼》は実質3マナだったことを考えると、1マナという軽さが素晴らしい。
《萎れ》
定番の置物対策。
墓地対策は《漁る軟泥》で十分なので、《自然への回帰》よりもサイクリングがあるこちらのほうが良いだろう。
具体的にサイドインする相手は、アドベンチャーデッキ(《幸運のクローバー》)と赤ビートダウン(《エンバレスの宝剣》)。どちらも出されると負けに直結するカードであり、《水晶壊し》4枚だけでなくインスタントタイミングで構えられるこのカードを足す意義は大きい。
《豊穣の碑文》
除去枠その3。
2マナインスタントで格闘の他、クリーチャー強化やライフゲインのモードも選べる。さらにキッカーで撃てばすべてのモードを選べる。
除去性能だけを見れば《強行突破》に劣るが、他のモードも選べるので腐りにくいのが利点。
特にBO1で役立つ良カードだと思うが、いかんせん《原初の力》と《強行突破》がかなり優秀なのでサイドに甘んじている。
しかしオムナスデッキ対策に更に除去を積みたい場合には、9枚目以降の候補として入ってくる。
《怪物の代言者、ビビアン》
+1能力で継続的にトークンを生成でき、-2能力でクリーチャーをデッキから呼び出せる。
更にライブラリートップからクリーチャーを唱えることで疑似ドローも可能。
いずれの能力もアドバンテージ獲得能力に長けており、コントロール相手などの消耗戦で活躍が見込める。でも自分のプレイだとあまり活躍した記憶が無い……。
《長老ガーガロス》
《探索する獣》にも匹敵する能力の山盛りっぷり。攻撃かブロックするたびにアドバンテージを生みだせる。
スペックは高いのだが、5マナという重さと除去耐性の無さから、戦場に出ても真っ先に除去で潰されるのがネック。
逆に言えば6/6という高タフネスを除去するのが困難な赤や緑に対しては、突破困難な高い壁として立ちふさがる。赤単キラーとしては無類の信頼性を誇る存在である。
実を言うと、ガーガロは緑単にとって使われる方が辛いカードでもある。緑が6/6を乗り越える方法は限られており、緑の敵は緑だと思わされる次第である。
戦績(参考)
BO3ランク戦(ダイヤランク)の直近28マッチを集計した結果、勝ち-負けは以下の通りだった。
- 4Cオムナス:4-1
- オムナス入り4Cアドベンチャー:3-0
- ティムール・アドベンチャー:1-0
- グルール・アドベンチャー:1-2
- ライブラリーアウト系:3-0
- ディミーアならず者:0-1
- コントロール系:2-4
- 赤単:1-1
- その他:2-2
やはりオムナスデッキに大きく勝ち越せたのが大きかった。
オムナスデッキは勝ち方こそ派手だが、コブラやオムナスが除去されれば身動きが取れずそのまま負け……というパターンも多い。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の3点ゲインがなくなり、アグロのスピードが間に合うことも増えた印象だ。
ウーロが消えたことで勢力を増したライブラリーアウト系にも緑単は有利である。
《遺跡カニ》のタフネス3を乗り越えられる高パワークリーチャーが多く、肥えた墓地も《漁る軟泥》のエサになるし、《テフェリーの後見》は《水晶壊し》で破壊できる。お得意様と言って良い。
コントロールには負け越しているが、これは自分が下手だから低マナクリーチャーを減らした影響だろう。よりアグレッシブに動きたいなら《ネシアンの角甲虫》や《ヘンジの槌、ファレン卿》などの2マナクリーチャーを増やすと良いだろう。
ともあれ、緑好きとしてはずっと使っていた緑単でミシックに行けたのがとても嬉しい。これからの1年で緑単がどのように強化されていくのかが楽しみだ。