自分はというと、「スタンダード2022(※BO1、「ゼンディカーの夜明け」~「フォーゴトン・レルム探訪」のカードのみ使用可能)」のランクマッチでイゼット・ドラゴンを使ってなんとかミシックランクに到達できたので、スタンダード2022環境の記録も兼ねて主要デッキとメタゲームを紹介したい。
- 過去のデッキ記事
使用デッキ:イゼット・ドラゴン
まずは愛用したイゼット・ドラゴン。アーキタイプとしてはクロックパーミッション要素のあるミッドレンジというところだろうか。
現スタンダードにも存在するアーキタイプだが、ローテーション後に失われる戦力は《砕骨の巨人》と《厚かましい借り手》の出来事コンビぐらいなので、ほとんど変わらない感覚でプレイできる。
赤の火力で盤面をさばき、重たいカードはカウンターでテンポを稼ぐ。相手が隙を見せたら《黄金架のドラゴン》からの《アールンドの天啓》連打で一気にフィニッシュ。
アグロ相手には火力で除去に回り、反対にコントロール相手にはクリーチャーでこちらから攻めることができる。相手に合わせた戦い方ができるのがミッドレンジらしく、とても楽しいデッキだ。
《黄金架のドラゴン》
言わずとしれた環境最高クラスのパワーカード。クロックを刻みながらマナ加速する、名実ともにこのデッキの中核である。
着地さえすれば宝物トークンで2マナ戻ってくるので、実質3マナでこの性能。ただし《魂の粉砕》で除去された場合は宝物トークンが生まれないため、相手が黒を含む3マナを立てている場合は注意が必要だ。
《砂漠滅ぼし、イムリス》
青い方のドラゴン。アンタップ状態なら護法4を持つため、序盤は除去されづらく、中盤以降も相手の動きを制限できる。
アグロ相手には壁になり、コントロール相手にも5枚目以降のクロックとなる。どんなマッチアップでも腐りにくいカードだ。
とにかく《黄金架のドラゴン》を止められる5/5というサイズが素晴らしい。最初は《ガラゼス・プリズマリ》も採用していたのだが、3/4という《黄金架のドラゴン》に一方的に討ち取られるサイズがどうにも弱いと感じ、デッキから外れてしまった。
《アールンドの天啓》
唯一無二の追加ターンを得るソーサリー。《黄金架のドラゴン》のマナ加速からこれを唱えて殴り続けるだけで簡単に勝ててしまうのがこのデッキ最大の強みだ。
防戦時も1/1飛行トークンが2体出るのでそこそこの時間稼ぎになるし、2連打すれば合計パワー4の飛行戦力になるので十分クロックとして計算できる。
スタンダード2022環境は青(打ち消し)が入っていないコントロールが多いので、ビッグスペルが通りやすいのもこのカードにとって追い風。コントロール相手に長期戦になっても天啓連打で勝ちをもぎ取れるパターンは多い。
《表現の反復》
こちらは環境最高のドロースペルの一枚であり、イゼットを使う理由の一つ。3ターン目以降に唱えれば、高い確率で実質2マナ2ドローとなる(使い方はこちらの記事を参照。)
ただしこのデッキには1マナのスペルが無いので、3ターン目に唱えると次のターンが実質パスとなってしまう。手札に2マナのアクションがある場合は、基本的に4ターン目以降に唱えたい。
《プリズマリの命令》
4つのモードを選べるいぶし銀のカード。
宝物トークンのマナ加速から4ターン目《黄金架のドラゴン》キャストはこのデッキ屈指の強ムーブであり、丸さと強さを併せ持った優れたカードだ。
また、2枚引いて2枚捨てるルーティングモードもかなり便利。
BO1ではどうしてもマッチングによって使いづらいカード(コントロール相手への除去、アグロ相手へのカウンターなど)が生まれがちだが、この手札入れ替え効果のおかげで無駄カードも無駄になりづらい。BO1向きのオススメカードだ。
《ドラゴンの火》
基本除去。《霜噛み》に比べると1マナ重いが、黄金架やイムリスが手札や戦場にいれば相手の黄金架を焼けるのは大きな利点。
このデッキはミッドレンジなので、1マナという軽さにこだわる理由は薄いと判断し、こちらをメイン除去に採用した。
《バーニング・ハンズ》
緑単対策。《星界の大蛇、コーマ》も焼ける。
緑が無いデッキ相手だと少し弱いが、最低限2点火力になるし、プレインズウォーカーにも飛ばせるので完全に腐ることは少ない。アグロが多いと感じたので4枚投入。
《弱者粉砕》
個人的にお気に入りの全体除去。
ウィニー相手に強いのはもちろんだが、コントロール相手でも《ひきつり目》や《よろめく怪異》の死亡誘発を防ぎながら流せるのが嬉しい。
《燃えがら地獄》より色拘束も薄く、インスタントタイミングで敵を処理する必要性も薄い気がしたのでこちらを採用。
ただしコントロール相手には中盤以降腐りやすい。《プリズマリの命令》で捨てるために、あえて予顕せず手札に持っておくのもテクニックの一つだ。
《髑髏砕きの一撃》
このデッキは《霜噛み》を採用していないので、土地は非氷雪構成であり、1枚程度なら入れ得だろう。
(《海門修復》も試してみたが、ソーサリーとして打つ機会はほぼ無かった。)
《浄化の野火》
スタンダード2022ならではの1枚。《廃墟の地》が無いこの環境では、ミシュラランド(クリーチャー化する土地)に対する最良の対策となる。
最大の標的は、イゼットカラーでは対処が難しい《ストーム・ジャイアントの聖堂》だが、それ以外でもアグロだろうがコントロールだろうがほぼすべてのデッキがミシュラランドを採用しているのでまず腐らない。実質キャントリップ付きの除去として計算できる。
メインの打ち消し。《黄金架のドラゴン》の最高の相棒。
2ターン目予顕→3ターン目《プリズマリの命令》で宝物生成→4ターン目《黄金架のドラゴン》で攻撃、返しの動きを《襲来の予測》で封殺→5ターン目から《アールンドの天啓》連打……というのがこのデッキ最強の動きだ。
万能カウンターゆえに使い所には注意したい。例えばコントロールデッキ相手の場合は、プレインズウォーカーはできるだけ火力で処理して、打ち消しは全体除去が来るまで温存するといった具合だ。
《否認》
黄金架を除去から守る手段。
コントロール相手はもちろん、緑系のアグロ相手でも《レンジャー・クラス》や《エシカの戦車》など標的は多いので、意外と腐らない。特に《レンジャー・クラス》は置かれるだけで大幅不利なので、2ターン目に打ち消せると大きい。
《ジュワー島の撹乱》
適切に使えば2マナで対象を選ばない強力なカウンター。
一方軽いデッキには弱く、宝物を浮かせて呪文を唱えてくることが多いコントロールにも容易には当てられない。
土地として置いてしまうか温存するかの判断が常に問われる、とてもテクニカルで良いカードだ。
《バグベアの居住地》
《不詳の安息地》にはマナレシオで劣るものの、十分強力なミシュラランド。氷雪マナが要らないので、黄金架のマナブーストと好相性なのも利点。
《ストーム・ジャイアントの聖堂》
6マナ起動は重いものの、7/7というサイズの制圧力が高い。特にミラーマッチでは無類の強さを誇る。相手に使われた場合は、なんとしても《浄化の野火》を当てたい。
続いて、スタンダード2022環境の主要デッキと、イゼット・ドラゴンとの相性を見ていこう。
緑単アグロ
環境のアグロデッキの中心的存在。サイズに優れたクリーチャーを展開し、《吹雪の乱闘》で盤面をこじ開け殴っていく。
前述通り《レンジャー・クラス》が強力無比で、1枚でクリーチャー生成・盤面強化・アドバンテージ生成をすべてこなしてしまう、環境屈指のパワーカード。
《ハイドラの巣》や《不詳の安息地》、《エシカの戦車》のように全体除去で流されないクリーチャーも多く、コントロールデッキに対しても粘り強く戦うことができる。
VS緑単アグロ
とにかく攻めに回った方が圧倒的に有利なマッチアップだ。
緑単には飛行を止める手段が乏しい。《長老ガーガロス》が消えた今、《ヤスペラの歩哨》ぐらしか到達持ちがいないので、《黄金架のドラゴン》も《アールンドの天啓》もほぼフリーで通る。
一方でイゼット側が受けに回ると非常に苦しい。タフネスが高い緑のクリーチャーは火力で焼きづらいのはもちろんのこと、《レンジャー・クラス》にも触れない。
レベル2で軽いクリーチャーをひたすら強化されるだけでも負けてしまうし、なんとかクリーチャーを根こそぎ除去できてもレベル3でデッキトップから戦線を回復されてしまうため、長期戦は不利。
序盤からライフレースを仕掛けていくか、それとも火力で受けに回るのか。先を見据えた判断が問われる戦いになる。
白単アグロ
軽いクリーチャーを横に並べ《パラディン・クラス》で全体強化する、オーソドックスな白ウィニーだ。《クラリオンのスピリット》などの「2つ目の呪文を唱える」シナジーも組み込まれている。
《光輝王の野心家》《精鋭呪文縛り》といったおなじみの強力なクリーチャーを使えるのが利点だが、アドバンテージを稼ぐ方法に乏しく、除去も弱い。長期戦も戦える緑単と比べて、より得手不得手が明確なデッキと言えるだろう。
VS白単アグロ
《弱者粉砕》で並んだクリーチャーを流せるかにかかっている。できるだけ序盤に予顕して、《精鋭呪文縛り》から隠しておこう。
スタンダード2022環境では白の主な除去が《スカイクレイブの亡霊》と《ポータブル・ホール》ぐらいなので、ライフが安全圏の状態でドラゴンを立てることができればひとまず安心だ。
反面、除去を引けないとかなり厳しい。《パラディン・クラス》を置かれるとカウンターのテンポが大幅に悪化し、ほとんど機能不全に陥ってしまう。
《精鋭呪文縛り》もイゼット・ドラゴンのようなミッドレンジにめっぽう強い。《黄金架のドラゴン》や《アールンドの天啓》のキャストが2ターン遅れるのは致命的だ。全体的に見ると不利なマッチアップに感じる。
グルール/ナヤ・ミッドレンジ
《ヤスペラの歩哨》《厚顔の無法者、マグダ》《裕福な亭主》などでマナ加速し、《エシカの戦車》や《黄金架のドラゴン》といったパワーカードを叩きつけるミッドレンジ寄りのデッキ。
白が入っている場合はここに《スカルドの決戦》が加わる。《レンジャー・クラス》も含めて、環境のパワーカードを詰め込んだデッキという感じだ。
VSグルール/ナヤ・ミッドレンジ
高速でキャストされるパワーカードをどれだけ弾けるかが勝負。白単とは逆に、打ち消しを引けるかがカギとなる。
《エシカの戦車》は強力なカードだが、《プリズマリの命令》で破壊できるし、《弱者粉砕》でトークンを流せるので比較的対処も可能だ。
シミック・ランプ
《創発的配列》や《クアンドリクスの栽培者》で土地をブーストし、対処方法が限られる《星界の大蛇、コーマ》を高速で叩きつけるランプデッキ。
除去はほぼなく、とにかく自分の強い動きを押し付けて勝つというタイプのデッキである。
VSシミック・ランプ
《星界の大蛇、コーマ》は《バーニング・ハンズ》で処理可能。逆に言えば《バーニング・ハンズ》がなければ、コーマが着地した時点で負けである。
長期戦は不利なので、できるだけ序盤からクロックを刻んでいきたい。相手の妨害札は《ゼロ除算》ぐらいなので、3マナ立っていない状態なら臆せず黄金架を叩きつけよう。
黒系コントロール
序盤は《よろめく怪異》や《ひきつり目》といった倒されても損しづらいクリーチャーで時間を稼ぎ、《スカルポートの商人》《命取りの論争》といった宝物シナジーで手札を補充。《雪上の血痕》でクリーチャーを一層しつつ、ドローエンジン兼クロック生成役の《蜘蛛の女王、ロルス》を使いまわす。
環境に(《出現の根本原理》のような)強力なスペルが少ないこと、《命取りの論争》が強力なドローソースであることから、ひたすらボードコントロールに徹する黒単色のコントロールデッキが成立している。もちろん2色構成も多く、それぞれに異なるメリットがある。
VS黒系コントロール
かなり戦いやすい相手だ。プレインズウォーカーや全体除去、《マスコット展示会》を打ち消して大きくテンポを取りつつ、《黄金架のドラゴン》を走らせれば勝てる。数の多い黒コントロールを狩れるのがイゼット最大の強みだ。
前述の通り《よろめく怪異》や《ひきつり目》だけでなく、《蜘蛛の女王、ロルス》のトークンは《弱者粉砕》で追放すれば死亡誘発が起きない。《命取りの論争》で対応されないように、2マナ浮いていない状態で打ちたい。
ただしラクドスカラーの場合は《イマースタームの捕食者》に注意したい。着地すると(他のクリーチャーがいる限り)ほぼ除去不能になってしまうので、なんとしても打ち消す必要がある。
イゼット・ドラゴン
VSイゼット・ドラゴン
《ストーム・ジャイアントの聖堂》を置けた方が勝つ。身も蓋もない言い方だが、カウンターできない7/7は赤の火力では処理困難であり、護法3のせいで複数枚の火力を重ねて撃つのも難しい。
基本的にミシュラランドが多い側が有利だが、互角の場合は基本通りタップアウトのタイミングに細心の注意を払う。少しでも油断すると《黄金架のドラゴン》→《アールンドの天啓》で一気にゲームが終わってしまうからだ。
メタゲーム考察
あくまで個人的な認識だが、基本的に白単アグロ←黒系コントロール←イゼット・ドラゴンで3すくみが成立している。
すなわち
- 黒コントロールは白単に、全体除去で盤面を制圧できるので有利。
- イゼット・ドラゴンは黒コントロールに、重たいアクションを打ち消しつつ、クロックで攻められるので有利。
- 白単はイゼットに打ち消しが間に合わないため有利。
という関係だ。
加えて緑単は、アグロデッキながらアドバンテージ生成力にも長ける点と、トランプル持ちが多くチャンプブロックに強い点から黒コントロールに有利だ。
一方で緑単は白単に弱い。全体除去がないため横並びに弱く、序盤の除去が弱いので《光輝王の野心家》の処理が難しく、《精鋭呪文縛り》《傑士の神、レーデイン》《クラリオンのスピリット》のトークンといった飛行を止められない。
すなわち緑単←白単←黒系コントロールというもう一つの3すくみが存在すると言える。
以上の関係を受けて、「イニストラード:真夜中の狩り」で環境がどう変化するのか、今から楽しみだ。イゼットはあんまり強化されなさそうだけど……。